2011-11-24

100 Greatest Guitarists of All Time on Rolling Stone Magazine

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昨夜、ネット上を徘徊していたらRolling Stone誌の恒例企画にぶち当たり、
あれよあれよという間に100ページ、まるっと読んで深夜になってしまった。

RS誌は「過小評価されているギタリスト」や「ベースライン・ベスト30」といった、
ランキング形式の特集を組むことで有名なアメリカはサンフランシスコの音楽誌で、
オンライン上で読めると気づいてからはちょくちょく読んでいる雑誌なのだけど、
今回は久々に正統派の?直球型特集100 Greatest Guitarists of All Timeだ。


これがまた、いろいろな意味で興味深かった。そして、ある程度「妥当」だと思った。

その、カギカッコつきの「妥当」の内訳はあとで述べるとして、
以下にその100人を列挙してみたので、ゆっくりひとりずつ見てほしい。

所属バンド、出身バンドがある者は生年の後にメモとして書いておいた。
必要のないものもあるが、そこは単にわたしのこだわりにすぎない。

なお、表記は基本的に姓を大文字としたが、一部芸名の者はすべて小文字表記とした。



#100. リンジー・バッキンガム Lindsey BUCKINGHAM (1949-) FLEETWOOD MAC
#099. サーストン・ムーア Thurston MOORE (1958-) SONIC YOUTH
#098. アレックス・ライフソン Alex LIFESON (1953-) RUSH
#097. スティーヴ・ジョーンズ Steve JONES (1955-) SEX PISTOLS
#096. ブルース・スプリングスティーン Bruce SPRINGSTEEN (1949-)
#095. ロジャー・マッギン Roger McGUINN (1942-) THE BYRDS
#094. ピーター・バック Peter BUCK (1956-) R.E.M.
#093. ポール・サイモン Paul SIMON (1941-)
#092. ダイムバッグ・ダレル Dimebag DARRELL (1966.8.20-2004.12.8) PANTERA
#091. デイヴ・デイヴィス Dave DAVIES (1947-) THE KINKS
#090. トム・ヴァーレイン Tom VERLAINE (1949-) TELEVISION
#089. ボニー・レイット Bonnie RAITT (1949-)
#088. カール・パーキンス Carl PERKINS (1932.4.9-1998.1.19)
#087. ジェイムズ・ヘットフィールド James HETFIELD (1963-) METALLICA
#086. J・マスシス J MASCIS (1965-) DINOSAUR JR.
#085. アンディ・サマーズ Andy SUMMERS (1942-) THE POLICE
#084. ジョー・ペリー Joe PERRY (1950-) AEROSMITH
#083. エディ・ヘイゼル Eddie HAZEL (1950.4.10-1991.12.23) FUNKADELIC
#082. ネルス・クライン Nels CLINE (1956-) WILCO
#081. ルー・リード Lou REED (1942-) THE VELVET UNDERGROUND
#080. バディ・ホリー Buddy Holly (1936.9.7-1959.2.3)
#079. マイク・キャンベル Mike CAMPBELL (1950-) TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS
#078. ジョン・フェイヒー John FAHEY (1939.2.28-2001.2.22)
#077. ウィリー・ネルソン Willie NELSON (1933-)
#076. ロビー・クリーガー Robby KRIEGER (1946-) THE DOORS
#075. ジョニ・ミッチェル Joni MITCHELL (1943-)
#074. ディック・デイル Dick DALE (1937-)
#073. カート・コバーン Kurt COBAIN (1967.2.20-1994.4.5?) NIRVANA
#072. ジョン・フルシアンテ John FRUSCIANTE (1970-) RED HOT CHILI PEPPERS
#071. ロバート・ジョンソン Robert JOHNSON (1911.5.8-1938.8.16)
#070. ジャック・ホワイト Jack WHITE (1975-) THE WHITE STRIPES
#069. リチャード・トンプソン Richard THOMPSON (1949-) FAIRPORT CONVENSION
#068. ジョン・マクラフリン John McLAUGHLIN (1942-) Miles DAVIS
#067. Tボーン・ウォーカー T-Bone WALKER (1910.5.28-1975.3.16)
#066. レズリー・ウェスト Leslie WEST (1945-) MOUNTAIN
#065. スラッシュ Slash (1965-) GUNS N' ROSES
#064. デュアン・エディ Duane EDDY (1938-)
#063. ジョニー・ウィンター Johnny WINTER (1944-)
#062. ロバート・フリップ Robert FRIPP (1946-) KING CRIMSON
#061. ディッキー・ベッツ Dicky BETTS (1943-) THE ALLMAN BROTHERS BAND
#060. ロン・アシュトン Ron ASHETON (1948.7.17-2009.1.6) THE STOOGES
#059. ロビー・ロバートソン Robbie ROBERTSON (1943-) THE BAND
#058. ピーター・グリーン Peter GREEN (1946-) FLEETWOOD MAC
#057. ロリー・ギャラガー Rory GALLAGHER (1948.3.2-1995.6.14) TASTE
#056. アルバート・コリンズ Albert COLLINS (1932.10.1-1993.11.24)
#055. ジョン・レノン John LENNON (1940.10.9-1980.12.8) THE BEATLES
#054. ジョー・ウォルシュ Joe WALSH (1947-) EAGLES
#053. オーティス・ラッシュ Otis RUSH (1935-)
#052. クラレンス・ホワイト Clarence WHITE (1944.6.7-1973.7.15) THE BYRDS
#051. ジョニー・マー Johnny MARR (1963-) THE SMITH
#050. リッチー・ブラックモア Ritchie BLACKMORE (1945-) DEEP PURPLE, RAINBOW
#049. マディ・ウォーターズ Muddy WATERS (1915.4.4-1983.4.30)
#048. ジョニー・グリーンウッド Jonny GREENWOOD (1971-) RADIOHEAD
#047. スティーヴン・スティルス Stephen STILLS (1945-) BUFFALO SPRINGFIELD
#046. ジェリー・ガルシア Jerry GARCIA (1942.8.1-1995.8.9) THE GRATEFUL DEAD
#045. リック・レイ Lick WRAY (1929.5.2-2005.11.5)
#044. マーク・ノップラー Marc KNOPFLER (1949-) DIRE STRAITS
#043. ヒューバート・サムリン Hubert SUMLIN (1931-) Howlin' Wolf
#042. マイク・ブルームフィールド Mike BLOOMFIELD (1942.7.28-1981.2.15)
#041. ミック・ロンソン Mick RONSON (1946.5.26-1993.4.29) David BOWIE, Ian HUNTER
#040. トム・モレロ Tom MORELLO (1964-) RAGE AGAINST THE MACHINE
#039. スティーヴ・クロッパー Steve CROPPER (1941-) BOOKER T. & THE M.G.'S
#038. ジ・エッジ The Edge (1961-) U2
#037. ミック・テイラー Mick TAYLOR (1949-) THE ROLLING STONES
#036. ランディ・ローズ Randy RHOADS (1956.12.6-1982.3.19) Ozzy OSBOURNE
#035. ジョン・リー・フッカー John Lee HOOKER (1917.8.22-2001.6.21)
#034. カーティス・メイフィールド Curtis MAYFIELD (1942.6.3-1999.12.26) IMPRESSIONS
#033. プリンス Prince (1958-)
#032. ビリー・ギボンズ Billy GIBBONS (1949-) ZZ TOP
#031. ライ・クーダー Ry COODER (1947-)
#030. エルモア・ジェイムス Elmore JAMES (1918.1.27-1963.5.24)
#029. スコッティ・ムーア Scotty MOORE (1931-) Elvis PRESLEY
#028. ジョニー・ラモーン Johnny RAMONE (1948.10.8-1964.9.15) THE RAMONES
#027. ボ・ディドリー Bo Diddley (1928.12.30-2008.6.2)
#026. ブライアン・メイ Brian MAY (1947-) QUEEN
#025. トニー・アイオミ Tony IOMMI (1950-) BLACK SABBATH
#024. アンガス・ヤング Angus YOUNG (1956-) AC/DC
#023. バディ・ガイ Buddy Guy (1936-)
#022. フランク・ザッパ Frank ZAPPA (1940.12.21-1993.12.4)
#021. チャット・アトキンス Chat ATKINS (1924.6.20-2001.6.30)
#020. カルロス・サンタナ Calos SANTANA (1947-)
#019. ジェイムズ・バートン James BURTON (1939-) Ricky NELSON, Elvis PRESLEY
#018. レス・ポール Les Paul (1915.6.9-2009.8.13)
#017. ニール・ヤング Neil YOUNG (1945-) BUFFALO SPRINGFIELD
#016. デレク・トラックス Derek TRUCKS (1979-) TEDESCHI TRUCKS BAND
#015. フレディ・キング Freddy KING (1934.9.3-1976.12.28)
#014. デイヴィッド・ギルモア David GILMOUR (1946-) PINK FLOYD
#013. アルバート・キング Albert KING (1923.4.25-1992.12.21)
#012. スティーヴィー・レイ・ヴォーン Stevie Ray VAUGHAN (1954.10.3-1990.8.27)
#011. ジョージ・ハリスン George HARRISON (1943.2.25-2001.11.29) THE BEATLES
#010. ピート・タウンゼンド Pete TOWNSEND (1945-) THE WHO
#009. デュアン・オールマン Duane ALLMAN (1946.11.20-1971.10.29) THE ALLMAN BROTHERS BAND
#008. エディ・ヴァン・ヘイレン Eddie Van HALEN (1955-) VAN HALEN
#007. チャック・ベリー Chuck BERRY (1926-)
#006. B・B・キング B.B. KING (1925-)
#005. ジェフ・ベック Jeff BECK (1944-) THE YARDBIRDS
#004. キース・リチャーズ Keith RICHARDS (1943-) THE ROLLING STONES
#003. ジミー・ペイジ Jimmy PAGE (1944-) THE YARDBIRDS, LED ZEPPELIN
#002. エリック・クラプトン Eric CLAPTON (1945-) THE YARDBIRDS, CREAM
#001. ジミ・ヘンドリックス Jimi HENDRIX (1942.11.27-1970.9.18)



われながら労作である。生年を調べるのは苦にならないが、打ち込むのが大変だった。
まあ、そんなことはどうでもいい。ざっとこのリストを見て、どう思っただろうか?
もちろん、「あのひとやあのひとがいない、けしからん!」という反応は多いだろうし、
「だれこのひと?あ、このひとも知らない」というものも、けっこうあったかと思う。


かく言うわたし自身、このリスト上の11人はまったく知らなかった。お恥ずかしい限り。
(ちなみに、#83、#78、#74、#64、#56、#45、#43、#35、#29、#21、#19の11人。)

また、ギタリストとしてではなく、ソロ・シンガーとして認知されているひとも数人いた。
#93ポール・サイモン、#77ウィリー・ネルソン、#75ジョニ・ミッチェルはその最たる者だ。

#81ルー・リード、#34カーティス・メイフィールド、#33プリンスに驚いたひともいよう。
ただ、彼らは一度でもその音楽を聴いたことのあるひとなら容易に納得できる人選だが。

個人的に、#90トム・ヴァーレインや#57ロリー・ギャラガーのランクインが嬉しい。
アメリカ受けのイマイチな#50リッチー・ブラックモアは、もう少し上にいて欲しかったのだけど。

THE BEATLESはともかく、THE BYRDSBUFFALO SPRINGFIELDはふたりとも入ったのが興味深い。
いや、FLEETWOOD MACTHE ALLMAN BROTHERS BANDもそうか。後者は当然すぎる選出だが。
THE ROLLING STONESで外されたのがブライアン・ジョーンズ、というのもなんだか意味深である。


生年を調べてみて、あらためて#36ランディ・ローズと#9デュアン・オールマンの若さに打たれた。
と言っても、その点は#80バディ・ホリーには敵わない。22歳半にも満たぬ生涯であった。
(一方で、失礼ながら「え、まだ生きてんの!?」組もけっこういるのだが・・・。)

そして、現役組では#16デレク・トラックスの若さが際立つ。10年以上活動してまだこの歳。末恐ろしい。


そう言えば、何人か現役のギタリストがテキストを書いているものもあった。

#75ジョニ・ミッチェルを#47スティーヴン・スティルスが、
#49マディ・ウォーターズを#16デレク・トラックスが、
#25トニー・アイオミをブレント・ハインズ(MASTODON)が、
#17ニール・ヤングをトレイ・アナスタシオ(PHISH)が、
#11ジョージ・ハリスンをトム・ペティが、
#2エリック・クラプトンを#8エディ・ヴァン・ヘイレンが、
#1ジミ・ヘンドリックスを#40トム・モレロが、それぞれ担当している。

もっとも興味深いのが「クラプトンを語るエディ」で、
「基本的に影響を受けたのはクラプトンだけ」と書いているのが面白い。



さて、こうしたランキングものの問題は順位以上(以前)に「ランク外」にあるのだが、
わたしのようにHeavy Metal/Hard Rockを長年聴いてきた者はとくに敏感に反応しやすい。
というのも、HM/HRにとってギタリストはときにヴォーカリスト以上の「花形」であり、
だれもが何十人もの「ギター・ヒーロー」の名前を即座にあげることができるからだ。


今回、それでも予想以上にHM/HR圏内のギタリストがランクインしたと思う。
#92ダレル、#87ジェイムズがいることはメタルに一定の評価がなされている証拠だ。

残念ながらゲイリー・ムーア、マイケル・シェンカー、ウリ・ジョン・ロートの姿はなく、
イングヴェイ・マルムスティーンも批評家筋の受けが悪いのだろうな、と嘆息するが、
いずれもアメリカ市場では苦戦を強いられたひとたちなので、仕方ないと言える。

ニール・ショーンスティーヴ・ルカサーのような玄人筋に受けのいいひとも外れた。
セッション畑出身だからというわけではないだろうが、相変わらず過小評価されやすいひとたちだ。

意外だったのは、ジョー・サトリアーニ、スティーヴ・ヴァイ、エリック・ジョンソンといった、
当代アメリカを代表する天才ギタリストたちが(不当にも?)選出されなかったことで、
このため却って、RS誌のこの特集における立ち位置が見えてきた気がした。


要するに、RS誌は「ロック誌」であって、ロックはブルーズとロックンロールから生まれた、
という認識がベースにあるからこそ、ジャズ/フュージョン系のギタリストがいないのだろう。
(唯一の例外が#68ジョン・マクラフリンだけど、これはマイルスの威光なのか・・・?)

ブルーズ最初期における伝説のギタリストや、ロックンロール全盛期のギタリスト、
そして60年代以降のロックの巨人たちに、以後の独創的な者たち、となっている。

何人か、ソウルやR&Bのひとが選ばれているのは、ロックンロールの親戚として、だろうか。
なんにせよ、ジャズ/フュージョン系をオミットしてリストに一定の規律を持たせたようだ。

そのためか、フュージョン的な要素もあるにはあるサトリアーニが抜けたことを受けて、
ヴァイやEJも選外となったのでは、と思ったわけだが、よもや評価されていないことはあるまい。
(#22ザッパはジャズ系ではないのかと言われそうだが、ザッパは雑派だからザッパである。)

そこらへんが、先にあげた「妥当」という言葉の簡単な内訳である。


この手のランキングに不満はつきものというか、むしろそれこそが特集の狙いだったりする。

なぜこんなに高い/低い順位なのか?なぜあのひとは入っていないのか?こいつは何者なのか?
そうした反応を引き起こすことが目的なのであって、いわば叩き台を提供しているだけのこと。

あまり目くじらを立てて怒るようなものではないし、
かといって知らないひとだからと無視するのもいけない。

自分がふだん聴いている音楽がいかに時代/ジャンルによって限定されているか、
そこにある「偏り」という自分の「好み」を、どれだけ柔軟に拡げられるか、
そうした再認識のきっかけ作りとして、またとない機会となっただろう。


こうしたランキングを見ると、どうしても自分なりのリストを作りたくなってくる。
いや、少しは準備があったのだけど、とてもじゃないが収拾がつかない。

余裕があったら、わたしの偏愛するギタリスト30選でもしてみようか。上記の100選以外で。

とりあえず、上のリストを何度も眺めたり、RS誌で実際に読んでみたりしてほしい。
新たな出会いがあるかもしれない。音楽の世界はとかく広大なのだ。ゆっくり聴いていこう。


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2 件のコメント:

  1. オールマンの死は残念ですね。

    以前も書いたのでアレですが、ギターリストにあまり目が行かないので(失礼)
    知らない方もチラホラ(大失礼!)

    そんな中でも自分が楽曲を聞いて、楽しくなってくるのがオールマンでした。

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  2. >kanaさん

    まあ、わたしみたいに音はすべて気になるという方がおかしいかもしれません(笑)

    デュアンが好きなら、必ずや#16デレクも気に入りますよ!
    彼は現THE ALLMAN BROTHERS BANDのメンバーですし、
    彼自身のバンドDEREK TRUCKS BANDも素晴らしく、
    夫婦で今年始めたTEDESCHI TRUCKS BANDも最高です。
    故デュアンの位牌を継ぐこの男、是非聴いてみてください。

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