2011-01-31

辛卯睦月遠征記

  

去年はHEAD PHONES PRESIDENT(以下HPP)のライブのため、
7月に水戸と大阪、9月に大阪と名古屋、12月に水戸へ赴きました。

年が明けて干支は辛卯(かのと う/しんぼう:西暦を60で割ってあまり31の年)となり、
HPPのワンマン・ツアーが8日から始まり、わたしも後を追って遠征開始と相成りました。


8日(土) 金沢

正月は風邪でひたすら寝ていました。
いま思うと、あんな体調でよくもまあ金沢へ行ったもんだとわれながら驚きます。

実家のある新潟市から特急北越に乗って約3時間40分で金沢へ到着。15年ぶりでした。
車内ではMAROON 5を聴きながら堀江敏幸『ゼラニウム』を読みつつ上機嫌で過ごしていました。

まだ体調は良くなかったものの、雪に埋もれた町や波立つ日本海を眺めたり、
本を読んだりツイートを見たりお茶を飲んだりお菓子を食べたりガイドブックで地図を確認したり、
といった電車旅行のいろは的な醍醐味を楽しめていた程度には、回復していました。


駅、自動改札ないんですね・・・。

これが駅。おもしろい門ですね。


とはいえ本調子からは程遠いので観光はあきらめて、駅を出てからは一直線に宿へ。
予想通りの距離だったけど、思った以上に冷えてしまい、かなり疲れてしまいました。

ぐったりしつつ先に到着していたHPP観戦組の方と連絡を取り、まだ早いのに会場へ。
そうしたら寒くて体調がさらに悪くなってきて、やることがないのでマックへ移動しているときには、
歩いてるうちに3人に置いていかれて結果30メートルは離されてしまったほど弱っていました。
どんどん先へ行くその後ろ姿を見ながら、やっぱり来ちゃいけなかったのだろうか、と思いました。
あと、歩くの遅れていること気づいてくれ、とテレパシーを必死で送っていましたけど、届かず。
置いてかれるのは寂しいけど、気づかれないほど影が薄いのだから仕方ない、と呟いてました。

やっとマックに辿りついたころにはメニューどころではなかったので、宿で寝てますと言って離脱。
さっさと宿に戻ってすぐに着替えて、しばし(2時間半くらいだったかな?)寝てました。

19時開演、なのに19時ちょっと前に宿を出て、会場へ。少し寝たおかげで体が軽くなっていました。
会場に着くと、ちょうど前座のA(c)が演奏を始めたところでした。

ドリンクのペットボトルにはHPPの写真が巻きつけてあって、おもしろい試みだと思いました。
風邪でアタマがどうかしていたようで、壮観なクーラーボックスの写真撮るの忘れてました。
われながらアホすぎます。すいません。なお、巻きつけてあったのはこれです。




すぐにコートなどを脱いで中へ。
入りはそれほど良くないけど、地方はどこもこんなものだ、ということがようやく呑みこめてきました。
ライブハウスに行く習慣のあるひとは、地方ではあまりいないようです。残念なことに。
まさかたった3000円のお金が出せないほどの不況に見舞われているわけではないはずなので。

A(c)は男女女というめずらしいスリーピースバンド。オルタナ系のロックバンドでした。
MCで「ヘッドフォンさんの暗黒オーラが…」うんぬん言っていた覚えがあります。
そんなこと言うとあとで怒られちゃうよ、と思ったのだっけ。


30分弱で演奏は終わり、長いセットチェンジを挟んで本編。ちょうど2時間くらいのライブでした。
水戸公演からさらにアレンジを変えてきて、とくにNarumiさんのベースが更に忙しくなってました。
Hiroさんの弾きまくりもとどまるところを知らず、大阪名古屋と順に音数が増えているほどです。

詳しいことはまだ述べませんが、いつものように素晴らしいライブでした。
妙な言い方かもしれませんけど、なぜか五人時代と何も変わってません。
熾烈で繊細、美麗かつ凶悪、衝動的でいながらどこか冷静で、それでも感情表現が理知を上まわる、という。


終演後、新潟土産の笹だんごをメンバーの方々、マネージャー氏、遠征組の方々に献上しました。
みなさんに喜んでいただいてうれしい限りでした。そして、次もお願い、と言われてしまいました。




23日(日) 大阪

去年の夏から数えて、人生三度目の大阪となります。

日曜、ということでかなり悩みました。月曜は8時半から仕事です。
高速バスで早朝に新宿着、そのまま仕事へ、という流れしかないので、そうしました。
移動も、お金のかかる新幹線はやめて高速バスにしました。4400円。安さには敵いません。
そこまでするか、と言われるかもしれないけど、したのだからもういいでしょう。


前日の22日(土)は13時まで仕事で、一度帰宅するのも億劫だったので、
搭乗時間の24時までヒマつぶしをいろいろしていました。

図書館で堀江敏幸(共著)『菊池伶司 版と言葉』を読んでから出て、
よく知っている少年が近くの公園をフラついていたので少し話し、
渋谷に着いてから美術展の前売り券や中古盤を買ったり、映画のビラを求めたり。
いつもだったらタワレコで試聴しまくるところだったのに、この日は気分がすぐれずやめました。

カフェ・ド・クリエで三好達治の随筆集を読んでさらに時間をつぶしてから、シアターNへ。
『極悪レミー』を見る、というのがこの強行スケジュールの前半ハイライトです。

先着順に整理番号をもらうシステムになっているので、早めに行きました。30分前。
21:00の回はフィルムがもらえることになっていたので、もらいました。




Blood Thirsty Butchersのドキュメンタリー映画の告知のあと、すぐに本編。
最低でも2000本以上は映画を見ているのでいくつか言いたいことはあるのだけど、
題材がおもしろすぎるから、文句を言わず楽しんで見ていました。

レミーをはじめ、ヘヴィ系の人間は常識的かつ知的であたたかいひとが多いことは周知の事実ですが、
一般的な「イメージ」からすると、「一般の」ひとには意外な点ばかりだったかもしれません。
まあ、コイツどうかしてる、という部分もいくらでもあるのですけど。

見終わってからパンフレットを買って、新宿へ。
途中、何か食べたかったのだけどラーメン屋もファストフード店も混んでいたので断念。
寒い中、バスを待ってやっと乗り込み、寝ました。寝つかれなかったけど。


大阪には7時半ごろに到着。夏にも利用したDELI CAFE(場所変わってた)にて朝食。

悠々と時間をつぶしてました。


寒くてどこも出歩きたくなかったので、10時半過ぎまで読書などで粘り、古書店街のあるほうへ。
こういった店は本の価値がわかっているので、おいそれといい値で発掘できることはなく、
このときも何か見つけては値段を見て断念、というものばかり。もしくは重すぎる、とか。
でも、エリザベス・シューエル『ノンセンスの領域』だけは・・・買っておけばよかったかなぁ。
一番好きな評論のひとつで、いつかちくま学芸文庫になるだろうと思ううちにもう8年経った…。


お昼を食べよう、となんばへ。
織田作之助で有名な自由軒のカレーを食べてみたかったからです。



ただコレ、出てきた瞬間にある程度は察してしまったけど、予想以上にマズイ・・・。
味がおかしいのでソースを大量に注入しましたが、あーあ失敗したと臍を噛みまくりでした。

当時(大正~昭和初期)の味そのまま、という触れこみだけど、あんなもんを喜んで食べていたの?
どこかで味が落ちたか、当時の水準が低かったのか・・・。(後者はあまり考えられないのだけど)


失敗した…、とうなだれつつ辺りをうろうろ。
フラッと入った古本屋で「ユリイカ」2002年4月号(メルヴィル特集)を300円で買って気を取り直し、
さらにフラッと入った古本屋には・・・ねこが鎮座ましましていたのでした。


何か買わなければねこに申し訳が立たぬと思い、安岡章太郎『自叙伝旅行』を500円で購入。
絶版だし、安岡の著作にハズレはないから納得して買って、おばあさんの許可を得てねこ撮影。




カレーのことは忘れたことにして、大丸心斎橋店へ。
「赤塚不二夫展」が開催されているので、観に行ったのです。

藤子不二雄両氏を幼少時から心底尊敬しているわたしにとって、
トキワ荘の盟友たる赤塚氏の原画展を観ないわけにはいきません。

大丸一階にはわたし好みのクラシック・カーが展示されていてさらにうれしくなったのですが、
会場についてあまりの人混みに愕然としました。あれでは、とても観られたもんじゃありません。



仕方なくあきらめて、かわりに図録を熟読してました。立ち読みですいません。
グッズもたくさんあったのだけど、レジも行列がひどくて買う気になれず、断念。


東京での開催を期待することにして、ライブ会場のClub Vijonの方へ。
スタバで一服したかったのだけど、四ツ橋店はえらい混みようでこちらも断念。

会場の近くに何かないかな、と歩いていたら、すぐに見つけました。
オラブリアン(スペル忘れた…oLa Briantだったっけ?)というカフェです。
落ち着いた雰囲気以上に、ソファが空いているのがよかったので即決定。
ケーキ+紅茶で650円、というのもよかった。たっぷり時間をかけて食べました。




なぜか店内では『トランスポーター3』が大きめのテレビに映されていて、
ときにちょっと、いやかなりうるさくなるのが、困ると言えば困りました。
その次は『ラスト・サムライ』でした。なんで?と呟いてしまいました。
洒落た隠れ家的な店なのに、大味な超有名映画をチョイスしているミスマッチぶりが甚だしい…。
まあ、ミニシアター系のものだったらマッチしすぎていて逆に鼻にかかったでしょうけど。
(そもそも映画いらんだろ、と思ったのだけど)

さっき買った「ユリイカ」のリチャード・パワーズへのインタビューや高山宏&巽孝之対談を精読。
そうこうしていたらHPP遠征組隊長(?)がこちらにやってきたので、しばし談笑。
おもに、裏番組の吉祥寺イベントのことやウワサのカブトメタルのことなどを話してました。


やっとこさ、目的のライブになりました。
東京や広島から参加された顔見知りの方々もいて、うれしくなりました。

Vijonは無闇やたらとステージが高く、その上モニターが邪魔で観にくい、というところ。
ほぼ最前列だから問題ないっちゃあないのですけど。でもあのモニターはないなあ~。


前座はSoundWitchでした。
わたしは2008年のADDICT XX以来ずっと観ていなかったので、これで2回目です。
当時もかなり好印象だったのですけど、今回久しぶりにライブを観て彼らは本物だと思いました。

メタルというよりはヘヴィ・ロックなんですけど、
そこにNew Wave的な音飾とゴス的な質感を持たせているところがとても希少でおもしろいです。
パフォーマンスも躍動感があってよかったし、曲もキャッチーかつダンサブル。
ただ、ヘヴィなリフと他のパートが噛み合いきれていないかな、と思う箇所もいくらかありました。
でもそこは、ほとんど前人未到といっていい領域なのでアレコレ言うのは控えねばなりません。

世界的に、いわゆる「New Wave」のバンドたちの遺産を活かしているバンドはあまりいません。
正月休みに、ミック・カーンの訃報の折に改めて気づいたのですけど、
彼らの音楽的な評価が定まっていないというか、忘れられている節があるように感じました。
実際、ほかのジャンルより廃盤が多いし、再発盤も少なく、そもそもCD化されてないものさえあります。
これから再評価されるのは間違いなく、その点SoundWitchはいいところに目をつけました。
彼らの活動がさらに拡大していくことを望みます。


そうそう、五人組の彼らのライブを観ていて、9月のHPPのライブがアタマをよぎりました。
SoundWitchもかなりアクティヴに動きますが、HPPはその比ではありません。そして、動き自体が美しい。
よくもまあこんな狭いステージで(幅もなく奥行きもない)、あんなに動き回ったもんだと思いました。
いや、むしろ「どうやって動いていたんだ?」という疑問すら浮かんだのでした。
SoundWitchも、ステージングに苦労してたように見えましたから…。


さて、やっと本編です。
この日は曲を1曲入れ替えたり、アレンジをさらに変えたり、でした。
ギターと会場の電源が相性悪かったそうで、ギターの音が出ずに"Nowhere"をやり直す、という椿事が。
Anzaさんはとっさに「こうゆうこともある」と言い、ついで「初めてだけど、ある」と付け足しました。
わたしも、こうした不運なミスを観るのは初めてでした。今後はないことを祈ります。

終演後、ほんの少しだけAnzaさんと話をする機会があったのですけど、
この日は気管支炎(!!)を押してのライブだったそうです。
風邪だとは聞いていたけど、まさかそこまで悪化していたとは・・・。
それ以前に、ライブ・パフォーマンスに何も影響がなかったことに驚きました。
ステージでは一切飲み物を口にしないだけに、余計に・・・。


バスの時間が迫っていたので、すぐに会場を出なければならず残念でした。
一夜明けて早朝の新宿に降り立ち、大江戸線のトイレでヒゲを剃って仕事へ。

どうやらガタがきていたらしく、家の鍵を失くしたことにも気づかないまま帰宅してしまいました。
(その後、どう解決したかはシークレットとしておきましょう)


29日(土) 名古屋

15時~17時に所用が入ってしまい、名古屋入りが最速でも19時過ぎとなることがわかっていたとはいえ、
なんだかとても慌しい一日でした。乗った・乗ろうとした電車すべてが運行遅延だったし。

駅構内を走りまくったけど、結局予定していた便には間に合わず名古屋入り。
地下鉄で栄へ。ホテルで着替えて(スーツでは行きたくない)会場までまた走りました。

これが思ったより遠くて参りました。下り坂だったのがせめてもの救いです。
やっとこさ着いたときにはもう20時を回っていて焦りましたけど、間に合っていました。


わたしが着いて10分後くらいに暗転、息もようやく整ってきたなか、ライブは始まりました。


この日は大阪とセットリストは同じでしたけど、
中5日という短い間にもかかわらず、さらにアレンジを変えた曲もありました。
Hiroさんがセッションで、ジョージ・リンチ専売特許のジャックオフ・ヴィブラートを3,4回、
挟みこんでいたのがとても印象的でした。あんなの絶対できない、って言ってたのに。

前回の名古屋公演同様、やはりモッシュピットが今回もできました。首謀者も同じ。
感心できないのは、最前にいた方の服を掴んで横に吹っ飛ばしたこと。あれは酷いです。
ちょうど肩胛骨の上あたり、首に近いところを掴んでいたのが尚更いけません。息が詰まってしまいます。
あの手の暴れ方がライブのデフォルトだと思っているひとが(残念なことに)増えつづけていますけど、
まわりの人間を巻きこむのがおかしいことくらい、考える以前にわかるだろうと思うのですが・・・。
(それがわかる人間ならあんな暴れ方はしない、ということもまた、わかってはいます。)

それはそうとこの日も、毎度のように凄まじいライブで大満足でした。


一夜明けて翌日(昨日とも言う)、ちょっとだけ名古屋散歩をしました。
栄を南下して大須の方へ向かったのですけど、寒いし曇りだし、ちょっと観光気分にはなれませんでした。

なんとなく、萬松寺へ。信長が建てた菩提寺ですね。


すぐそばに民家が。


JR鶴舞駅から名古屋へ行こう、とそちらの方へ。途中、中古CD店や古本屋に立ち寄りつつ。
通りには古本屋がたくさんあって、習性でどうしても一軒一軒立ち寄ってしまいました。

堀田善衛『橋上幻像』蓮実重彦『[増補版]監督 小津安二郎』を購入。これで満足したので駅へ。
公園散策は寒いし雲行きが怪しいのでやめて、すぐに来た電車に飛び乗りました。そしたら晴れました。

名古屋から7分遅れた新幹線に乗って、帰京。くたくたかと思いきや、案外フツーだったのですよ。



これで、遠征はしばらくありません。


そんなこんなで、実は17日(月)から今日31日(月)に至るまで、一日フルで休めていません。
HPPワンマン千秋楽の4日(金)まで、走りっぱなしです。そのせいか、体にガタがきてます。

長時間バスに乗ったせいか、左足の一部に軽微な痺れがあるし、口内炎みたいな歯肉炎(?)も治らないし、
風邪で倒れていたとき痛めた腰も、全快しないままだったのが名古屋遠征でまた悪化してしまいました。

なんかもうボロボロですが、もういい年なので仕方ないとあきらめてます。
鼻毛も白いのを月イチで抜いてますし、白髪も出てきたし。でも、この腰はイカンなぁ・・・。


  

2011-01-19

辛卯睦月投票日記



昨日、あれだけいろいろと候補を挙げておきながら、
結局のところ誰に投票するのかは早い段階で決まっていたのだった。


(いい年こいて丸文字でスマンことである。)


そうゆうわけで、今年はほとんどの票をHEAD PHONES PRESIDENTに入れた。
いや、2005年以降は毎年バンドはHPP、ヴォーカルはAnzaさんに入れているのだ。

とはいえ、基本的に「ひとつの枠につき1バンドからひとりだけ」という原則を採用しているので、
今年は例外中の例外というか、こんなに1バンドに固めて投票したのは長い投票史上初めてである。

もちろん、この背後にはそれなりに理由が、いや想いがあるのだし、
だれにどう投票しようが知ったこっちゃないのだから、勝手にやってればいいのだけど、
他にも票を入れたかったひと(作品)はいくらでもいる(ある)ので、そのことを書きたいわけだ。

ということで、ひとつずつやっていく。


GROUP///HEAD PHONES PRESIDENT


初めて観た2005年以降、バンドはずっとHPPである。
それだけ衝撃的なライブだったし、やっている音楽も素晴らしいのだからここは不動である。
しかも、今年は南米公演、リアレンジ・アルバムの発表、初のアコースティック・ライブ、
そしてMarさん(g)の脱退を乗り越えてすぐに四人編成で活動し出す、という慌しい一年だった。
今年の活動すべてに敬意と感謝を捧げたい。


他にも、票を投じたいバンドはいる。
たとえば、再結成してこれ以上ない素晴らしいバンド・サウンドを披露してくれたMR.BIGや、
強力極まりないアルバムを発表し、変則的な編成でも最高のライブをみせてくれたOVERKILLや、
「まさか」の再結成と来日、そして至福の時間をもたらしてくれたDIZZY MIZZ LIZZYなどだ。



VOCALIST///Anza (HEAD PHONES PRESIDENT)


ライブで毎回、命を削るように全力で歌う姿を観つづけていて票を投じないわけにいかない。
新作でも、曲に予期せぬ新たな表情を加えていて驚かされた。
その表現領域は拡がりつづけている。


他に、ライブで観て改めて驚かされたのが、
Morrie(DEAD END,Creature Creature)とアニー・ハズラム(RENAISSANCE)だ。
Morrieは若い頃から圧倒的にステージングが巧いが、それは今もまったく変わっていなかった。
アニーなど、全盛期(70年代中盤)のヴォーカリゼイションから衰えがないという超人っぷりである。

OVERKILLのブリッツも、ライブでは強靭なパフォーマンスを披露してくれた。もう50歳くらいなのだが…。
森重樹一は、ライブを観るたびに「この人は日本一歌が上手いのではないか」と思ってしまうひとだ。

アルバムを聴いてその歌唱の素晴らしさを堪能したのは、スティーヴ・オーヴァーランド(FM)、
ハリー・ヘス(FIRST SIGNAL)、トミ・ヨーツセン(AMORPHIS)、エリック・マーティン(MR.BIG)など。

驚いたのがヨンネ・アーロン(NEGATIVE)で、まさかあれほどまでにうまくなっているとは思わなかった。
瞬間的にHAREM SCAREM時代のハリーを思ってしまったほどである。ライブで是非確認したいところだ。


GUITARIST///Hiro (HEAD PHONES PRESIDENT)


新作やライブでの弾きまくりが、ここへきて更にその度合いを高めている。
また、多彩なアレンジ能力は驚くべきレベルで、
世界中のHM/HRやヘヴィ系のギタリストで類例が思い当たらない。
Marさん脱退後の水戸公演では、その演奏量も相当なものになっていた。
今後さらに飛躍するのは確実だ。


2010年、ライブで観て最大の衝撃を受けたのがスティーヴ・ハケットだった。
わたしは勝手に「師」とつけてハケット師と呼んでいる。幻想派の巨匠であり、まぎれもない天才だ。
ハケット師に票を入れるつもりだったが、HPPの水戸金沢公演を観てHiroさんにした。

初めて観たゲイリー・ムーア、マイケル・シェンカー、アンガス・ヤング、スラッシュも、当然候補。
ただ、ゲイリーは弾きすぎで一音のありがたみが薄れてしまったし、神とアンガスは席が遠すぎた。
スラッシュは最高だった。ゆえに彼でもよかったのだけど、音楽的好みでハケット師が上にきた。

ジェフ・ルーミズ(NEVERMORE)はアルバムもライブも笑っちゃうほどの技巧だったし、
ジェイムズ・ヘットフィールド(METALLICA)の刻みも相変わらずの鬼っぷりで最高だった。

ジョン・ミッチェル(IT BITES)も特筆すべきギタリストだ。
いわゆる「クサメロ」とは無縁の、メロディアスかつ叙情的で知的なプレイを身上とするあたり、
ハケット師を思わせもするが、その上、現代的な超絶技巧をもあわせもっている点が素晴らしい。
ARENAやFROST*でも活躍しているところを聴くと、もっと知られ評価されるべき人物としか思えぬ。

ライブアルバムを聴いて、エサ・ホロパイネン(AMORPHIS)はマイケル・アモットを超えたと思った。
トーン・コントロールが完璧な上、そのメロディ、その表現力がいま絶頂期を迎えていると思う。

それと、ビル・レヴァティ(FIREHOUSE)もソロがおもしろかった。
伝統歌や初期ブルーズに材をとったサザン・ロック(2009年作)をセンスよく聴かせてくれた。
予想以上に器用かつ才能のあるギタリストなので、今後の動向はチェックしなければなるまい。



BASSIST///Narumi (HEAD PHONES PRESIDENT)


元々、図太い音でメロディアスにうねるベースを弾いていたけど、
新作におけるアコースティック化でその威力が更によくわかった。
Marさん脱退後は仕事量も飛躍的に増大しており、
ライブでは只事ではない凄みを放っている。


サマソニのアンコール、"Metropolis"の「あの」ソロ・パートを前にして、
ジョン・マイアング(DREAM THEATER)は自分にとって「ヒーロー」なのだと痛感した。
(いまだに、初期の表記「ミュング」で呼んでしまう)
目で追っても何やっているのかさっぱりわからないが、唯一無二の芸風を持つひとである。

D.D.ヴァーニ(OVERKILL)も凄かった。あの音は「ブリッブリ」としか言いようがない。
とんでもなく弾力のある音なのだ。鉄球でバスケのドリブルをやっているような印象がある。

アルバムで弾きまくるビリー・シーン(MR.BIG)のベースを聴いて、
久しぶりに「コイツどうかしとるわ」と笑ってしまった。この人も唯一無二の男だ。



DRUMMER///Batch (HEAD PHONES PRESIDENT)


パーカッシヴでニュアンスに富んだフレーズが得意だったが、
実際にパーカッションを叩くことで更にその表現領域を拡大した。
ヘヴィでラウドなドラミングも同様。HPPの多彩さに拍車をかけることになるだろう。


ソレン・フリス(DIZZY MIZZ LIZZY)が現役時代と変わらぬ風貌と演奏で健在ぶりをみせてくれた。
元々巧いひとだったけど、ライブで観るとその巧さに感心することしきり。本格的に再結成してくれ。

トム・ハンティング(EXODUS)はアルバムでもライブでも「化け物」であった。どうかしている。
デイブ・ロンバート、ポール・ボスタフ並みかそれ以上の猛者だと思う。恐ろしい…。

新作を聴いて、この人って本当に何でもできるんだなと改めて感じ入ったのがパット・トーピー(MR.BIG)。
伊達にビリー・シーンの相方を長年つとめているわけではないのだ。また注目されるようになってほしい。



KEYBOARDS PLAYER///John Beck (IT BITES)

Lee Pomeroy (b), Bob Dalton (dr),John Mitchell (vo,g) & John Beck (key)

ライブで観れたキーボード・プレイヤーはあまりいない。
いてもツアーのアディショナル・プレイヤーだったりするので、バンドの正式メンバーとなると、
ジョン・ベックのほかはデーモン・フォックス(BIGELF)くらいである。
ミニムーグとメロトロンを操るデーモンもよかったけど、やっぱりわたしはこの人だ。
ジョン・ベックのサウンド・センスは抜きんでていると思う。
ライブ限定のアレンジを聴かせてくれる点も考慮した。


アルバムでもキーボード・プレイヤーはあまりいない。
そんな中、フレドリック・ヘルマンソン(PAIN OF SALVATION)は毎度のように堅実かつハイセンス。
PAIN OF SALVATIONはもっと注目されてほしいのだけど、新作に伴うインタビューすらなかった…。



LIVE PERFORMANCE IN JAPAN///Steve Hackett


「来日アーティスト」なので、国内バンドに投票できない。(是非とも国内枠を作ってほしい…)
となると、ギタリスト枠から外したハケット師に一票入れるよりほかあるまい。それほど感動的だった。
IT BITESDIZZY MIZZ LIZZYも、パフォーマンス、セットリストともに最高で文句なしだった。

国内組では当然HPPなのだが、どの日と訊かれると返答に窮する。Boxxかアコースティックか…。



BEST ALBUM///Pobl Lliw (HEAD PHONES PRESIDENT)


リアレンジしたセルフ・カバー+新曲からなるアルバムなので悩んだのだけど、
2010年で一番聴いたアルバムだし、その点で他を圧倒していたから、やっぱり本作しかない。


他にはWhat If... (MR.BIG)、Ironbound (OVERKILL)、Road Salt One (PAIN OF SALVATION)など。


BEST TUNE///"Sand" (HEAD PHONES PRESIDENT)

アルバムと同様、一番聴いたので選出。
ただ、曲単位では普段から聴かないから、毎年この枠は違和感があるのだけど。


BEST SONGWRITER///SLASH


様々なヴォーカリストたちにピッタリの曲を書いていた、
その幅広い作曲能力に敬意を表して。
サマソニのライブが素晴らしかった、というのもあるか。


BRIGHTEST HOPE///LAPKO


チープなNWOTHM勢や新LAメタルみたいな80年代回帰組は、曲が良くてもイマイチのれないし、
いわゆる「嬢メタル」(蔑称じゃないか?)と呼ばれている女性ヴォーカルバンドもあまり感心せず、
国内のガールズ・メタル勢は聴いていないし、アレコレ多くて聴く気が失せてしまった。

BIGELFは日本デビューとはいえ90年代から活動しているバンドだから「新人」とは言い難い。

そんな中、年末に登場したLAPKOは新鮮だった。
すでにそれなりのキャリアがあるので迷いはしたけど。


BEST ALBUM COVER///Deep South (Bill LEVERTY)


CATHEDRALが新作を発表した年は必ずそのアートワークを手掛けているパチェット氏に一票なのだが、
今年はビル・レヴァティの祖父に一票。新聞社で働いていたのだとか。わたしの版画好きも一因。


BEST DVD///Uroboros At Nippon Budokan (DIR EN GREY)

2010年はほとんどDVDを買わなかった。これとAMORPHISのだけである。
ヴォリュームで選出?というわけでもないけど、結果そうかな…。


SHINING STAR///Anza (HEAD PHONES PRESIDENT)


京、神、アンガス、ゲイリー、Morrie、スラッシュ、ハケット師、ブリッツ、ジェイムズ、森重さん、
という錚々たる面子を差し置いて、毎度のようにAnzaさんである。ライブを観れば嫌でもわかる。



PLEASURE///DIZZY MIZZ LIZZYの再結成来日公演


ライブ枠をハケット師に献上したので、こちらで。本当にうれしかった。
うれしかったと言えば、MR.BIGの新作もそう。あの素晴らしさは多くのひとに届いてほしい。



BORE///イングヴェイの新作の音と曲

わたしは毎年、この枠に逝去・解散・脱退などを挙げないことにしている。
音楽は人間関係だ。わたしなどが与り知らぬことばかりがバンドにはあるに違いないのだ。
だから、解散や脱退はその理由を問わない。仕方ないことだとあきらめるしかない。
まして死は尚更であろう。それを「BORE」とはとても言えない。言えるわけがない。


よって、この枠は毎年バカげたことばかり書いている。
もちろん、本気で呆れ、腹が立ったことに変わりはないのだけど。
去年はマックス・カヴァレラのサマソニにおける醜態と、ドン・ドッケンのLP09における歌唱で悩んだ。
結局、酷すぎた後者にした。新ヴォーカリストを迎えるしか再生への道はないが、偽DOKKENになってしまうな。



今年は、イングヴェイの新作である。タワレコで試聴して、あまりの音の悪さに腰が抜けそうになった。
イングヴェイの前は、インディーズのマイナーなバンドを聴いていたのにその落差はあまりにも大きかった。
曲も「いつも通り」で工夫もなし、リッパーのヴォーカルも力みすぎで却ってチープ。歌メロもぞんざい。
ジャケも毎度のように残念。ギターはいいのかもしれないが、あんな音では聴く気にすらなれない。

BURRN!ではなぜか3人とも80点台で、正直わが目を疑った。わたしなら赤点以下をつけただろう。
あんな酷いものが80点台で、アレやソレやコレがそれ以下(に見える)、というのは許し難い。
いや、点数はどうでもいいのだ。問題は、点数だけを鵜呑みにする人に誤解される点なのだ。
(もっとも、レビューの内容が怪しいものもあるのだけど。とくに羽田ァ!)

イングヴェイも、ドゥギーと組んでいたときはまだいける、と思ったのに…。
誰か、偉い人がプロデュースしないと改善される可能性は皆無だろう。
あの傲慢なスウェーデン人が、そんなこと受け入れるわけないけど。
貴族だから?え、正確には伯爵だって?ハイハイ…。


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2011-01-18

Live Diary 2010



1月と言えば、BURRN!人気投票の季節なのだ。


初投票してからもう随分経つ。毎年欠かさず応募しているのだからわれながら殊勝である。
(景品が当たったことは一度もないが、毎年当たる気がする点もまた健気ではないか)

とくに何を公開する必要もないというのに、どのように票を投じたかご覧に入れよう。

基本的に、グループや各担当は「ライブで観たひと」のなかから選ぶようにしている。
だいたい2000年ぐらいからずっとそうしているので、今年も例年通りそうした。
ゆえに、候補となるのは「わたしが観たライブ」から、となる。


2010年に観た来日組のライブは、以下の通り。

0113 MICHAEL SCHENKER GROUP
神、絶好調で感動した。間奏担当のゲイリー・バーデンもがんばっていたと思う。
しかも、リズム隊がニール・マーレイとサイモン・フィリップスである。悪いわけがない。
ただ、残念なことに席が中野サンプラザ2階最後列だった。さっさとチケット買えばよかった。

0123 FAIR WARNING
来日が決まったときから「ジーノ来い!」と願をかけまくっていたが、もちろん出なかった。
一番好きなギタリストなので、勝手に期待してしまった。現在、宇都宮在住らしいのだが…。
(ちなみに、二番三番はピート・レスペランスとクリス・デガーモである。いや本当に。)
肝心のライブだが、素晴らしいセットリストで文句なし…なんだけど、
これほど曲も演奏もいいのに「それ以上」心に迫るものがないのが、不思議だ…。
気分の問題だろうか。でも、ヘルゲのギターもなんか「そう」なんだよな…好きなんだけど…。

0212 THE AGONIST
もちろん、わたしはHEAD PHONES PRESIDENTを観に行ったのであって、彼らはオマケである。
ステージングはともかく、プレイはよかった。ドラム以外は。アリッサのヴォーカルは完璧。

ここから先はライブレポがマイスペにあるので、リンクを貼っておく。
ちゃんと書けていないものも多いが、まあ能力が足りないから仕方ない。

0310 BACKYARD BABIES at Shibuya Ax
活動休止宣言をしたわりには、さっさと忘れ去られてしまった感があるのが残念だ…。

0312 AC/DC at Saitama Super Arena
見切り席を売りつけるH.I.Pが許せぬ。同じ席を複数枚売ったこともあるらしい。はやく潰れてほしい。

0320 IT BITES at O-East
2010年ベストのひとつ。一日もはやく新作を作って来日してほしい。

0406 LOSTPROPHETS w/THE BLACKOUT at Akasaka Blitz
思い返すだに酷い"Can't Catch Tomorrow"だった。行かなくてもよかった。もっとうまくなってください。

0422 Gary Moore at Shibuya Ax
流石は人間国宝。でもやっぱりハードロッカーなんだよな~、と思わざるを得なかった。
はやくアイリッシュ・ロック・アルバムを発表して、ニール・カーターつれて来日してほしい。

0508 DIZZY MIZZ LIZZY at Club Citta'
2010年ベストのひとつ。観れるとは思わなかった。マーティンとソレンも衰えてなくて完璧だった。

0529 FINLAND FEST 2010 at Liquidroom
(BEFORE THE DAWN, TURISAS, TAROT, POISONBLACK)
TURISASがあそこまで素晴らしいものみせてくれるとは思わなんだ。新作に伴う来日が楽しみ。

0808 SUMMER SONIC 2010
(BIGELF, COHEED AND CAMBRIAMichael Monroe, HOLE, SLASHDREAM THEATER)
まさかDREAM THEATERのマイク・ポートノイがこれで観収めになるとは…。

0821 RENAISSANCE at Club Citta'
レジェンド、というものがいかに凄いものなのか思い知らされた。今年発表の新作も楽しみ。

0822 PROGRESSIVE ROCK FES 2010 at Hibiya Open Air Theatre
(RENAISSANCE, Steve Hackett)
2010年ベストのひとつ。ハケット師にはただただ脱帽、もう恐れ入りましたとしか言いようがない。



ライブレポはここまで。
以後は、マイスペで書いても誰も読んでくれないので書かなくなってしまったうえ、
自分の文章にも嫌気がさして完全に書く気を失ったため書いていない。
ようやく復活して書いたのが、HPPのアコースティック・ライブのレポだった。


090708101112 DOMENICA
DOMENICAのライブを5回観ているという、極めて希少な日本人のひとりがわたしである。
もちろん、HPPを見に行ったのであって、オマケで観ただけなのだが。
DOMENICAの総評的なまとめライブレポを書くつもりだったのに、
上述のようにやる気を失くして書かなかったのが悔やまれる。スマン、DOMENICA。

0918 THRASH DOMINATION 2010
(AGENT STEEL, NEVERMORE, EXODUS, OVERKILL)
AGENT STEELはいらなかった。あとは素晴らしかった。とくにOVERKILLは最高。また観たい。
NEVERMOREのステージに上がり、調子こいてウォーレルの帽子取ろうとした大馬鹿がいたのがもの凄く残念。
誰か、あの糞野郎の知り合いがいたら「二度とライブ来るな」と言ってくれ。目障りで腹立たしいだけだ。
それと、モッシュピットを逆流して肩をぶつけまくってた黒シャツのあんちゃんも二度と来ないでほしい。

0926 METALLICA + FEAR FACTORY, THE SWORD
前座2バンドの音量制限があまりに酷かったことが残念でならない。
METALLICAは貫録の「ショウ」だった。ラーズが凄いがんばっていた。"One"はアレだったけど。
それと、ジェイムズはレスポールじゃなくて、エクスプローラーかフライングVだよねぇ…。

1121 De La FANTASIA 2010  (Clare and THE REASONS, Van Dyke PARKS)
メタル系じゃないけど、一応書いておく。
これもブログをあげるはずが、マイスペの馬鹿げたリニューアルのゴタゴタで流れてしまったのだった。
ヴァン・ダイク・パークスに、ブライアン・ウィルソンとトッド・ラングレンを加えた三人を、
「アメリカの三大ポップ・マッド」と勝手に呼んでいる。わかるひとはわかるだろう。
新作を今年の春にリリースするそうなので、そのときに少し書いてみたいのだが…日本盤出るの?



国内組は以下の通り。非メタル系も書いてしまう。


0110 DIR EN GREY
武道館二日目。2009年に観たもののほうが鮮烈な印象があったけど、この日も素晴らしかった。

0111 FAR EAST RAMPAGE : DAMN FES
(SATYR, NAMAZ, JUNKY WALTZ, THONE, ROSEROSE, ARGUMENT SOUL,
TETSU-KABUTO, BREAK YOUR FIST, COCOBUT, FASTKILLUNITED, FROM HELL,
EDGE OF SPIRIT, TOKYO YANKEES, SURVIVE)
長すぎたし、バンドも多すぎた。でも、やっと観れたFROM HELLが素晴らしかったから行ってよかった。
Ken-Shinが加入したUNITED、トリをつとめたSURVIVEも最高だった。

0220 重音楽祭
(INHALE, deepslaughter, SHELLSHOCK, CROSSFAITH, HER NAME IN BLOOD,
GN-z WORD, bilo'u, METAL SAFARI)
HPPを観に行ったのであとはオマケであるが、SHELLSHOCKとMETAL SAFARIがよかった。
とくに後者は見違えてよくなったと思った。それ以前はちゃんと観ていなかっただけかもしれないが。


ここからはライブレポがある。
0406 UNITED w/Nemo, Yoshiya, Anza at Club Asia
観れた喜び、という点では2010年ベストか。間に合ってよかった…。

0417 Subciety A.V.E.S.T project at Shibuya Ax
(coldrain, EGG BRAIN, Pay money To my Pain, UNITED, RIZE, 10-FEET)
UNITEDとPTPを観に行ったのだった。気になることは多々あったが、放置したままだ。

0502 OUTRAGE w/HER NAME IN BLOOD at Club Citta'
新作の素晴らしさそのままの、素晴らしいライブだった。

0620 Creature Creature at O-East
とうとうMorrieを観てしまった。凄い人間がいたもんである。

0822 PROGRESSIVE ROCK FES 2010 (四人囃子)
国内プログレの祖を観ることになるとは…。感謝感激であった。


ライブレポはここまで。
とうとうHPPのライブレポすら書けなくなってしまったのだった。

0919 Abstinence's Door #005  (defspiral, girgamesh, D'ERLANGER)
HPPを観るついでにD'ERLANGERが観れるのだから大喜びで参戦したのだが、
肝心のD'ERLANGERがパッとしなかった。
翌日のライブをストリーミングで見たけど、そっちのほうがセットリストはよかった。
増田さんがBARKSでレポを書くはずだったのに、そういえば流れたようだ。台湾はどうだったんだろう?

1111 森重樹一
いろいろ素晴らしかったのでレポを書きたかったのだが、当時はそれどころではなかった。
でも行けてよかった。三部構成というのも珍しかった。いつかちゃんと書こう。

1121 De La FANTASIA 2010  (高木正勝, トクマルシューゴ, TYTYT, 細野晴臣)
出演者すべて素晴らしかった。これもいつかちゃんと書かねばなるまい。

1216 大貫妙子&坂本龍一
これは必ず書く・・・予定。


HEAD PHONES PRESIDENTRouse Gardenは回数が多いので、日付けは入れない。
両者の共演バンドも書くべきだが、ちゃんと観たバンドのみ書いておく。
Proof of a Life, AWAKED, METAL SAFARI, rowthe, sjue

なお、HPPは代官山川崎恵比寿水戸渋谷大阪新宿渋谷大阪名古屋渋谷新木場渋谷水戸の14回、
Rouse Gardenは3月4月7月9月11月12月12月に代々木Zher The ZOOなどで7回観た。


以上のものをメインに、2010年のまとめシリーズの作品を発表したバンド/アーティストが選考対象となった。


つづきはまた。


2011-01-16

卯年に

   

昨日今日とセンター試験があった。
受験生は一段落する間もなく次を見据えていることだろう。


自分が受けた試験の記憶が薄れて久しい。
わたしが受験した年も卯年だったのだと、先日気づいた。
ちょうどいいタイミングなので、当時のことでも振り返ってみる。



* * *



まだ早い時間だというのに、駅には多くの受験生がたむろしていた。
積雪を見越して早めにうちを出たのだろう。わたしもその一人だった。
雪は降ってなかったが、重く湿った雲が低く垂れこめていた覚えがある。


試験会場の国立大学は、市内中心部から随分と離れたところにあった。
電車で行くと、駅から20分近くは歩かねばならない。バスなら10分程度ですむ。
駅もバス停も、その大学の名を冠しているというのに大学から遠くにあるのが解せないが、
市中心部からバスで約40分はかかる「辺境」だし、田舎だから仕方ないと言っていたのだった。


クラスの友人といっしょにバスの最後列に乗り込んだ。
駅で待ち合わせて合流したのだったか、駅で偶然出会ったのか、
それとも駅までのバスでたまたま乗り合わせたのだったか、もはや記憶は定かではない。

緊張などまったくせず、遠いだの寒いだの言っていたのだろう。
アイツやコイツはチャリで来るはずだ、とか、ナントカ(教師名)がお守り配るらしい、とか、
帰りは(家の人に)迎えに来てもらう、とか、そういったことも言っていただろう。


初日か二日目か忘れたが、バスから見えた光景を今でも覚えている。
雲が薄れて少し明るくなった朝の街を、雪が舞うなか歩いている受験生たちの姿だ。
風もあるためうつむきがちで、茶色のコートを押さえながら歩く数人の集団を見て、
「寒そ~」と口にしたのではなかったか。「バス、降りたくね~」とか。
その数人のなかに知人がいなくて、当然だと思いながらもつまらなさを感じたのではなかったろうか。



記憶は途切れ、英語の試験後にストーブのまわりで暖を取っていた場面になる。
ストーブは、煙突付きで上にやかんが置けるものだった。やかんは置いてなかった。

試験の常で、緊張状態から解放された多くのひとが興奮気味に喜んだり落ち込んだりしていた。
フラフラとした足取りや絶望的な表情を見せたり、問題や会場に八つ当たりをしたり、
次の試験(地歴科)のヤマをはったり、といった光景が繰り広げられていたはずだ。

模試とは違って今日こそ本番だというのに、わたしはそんな実感がまったくなかった。
会場がいつもと違うだけで、やっていること自体はまったく変わりがないのだし、
まわりの大半を見知らぬ生徒が占めているとはいえ、友人知人と合流してしまえばもはや高校と同然である。


廊下の向こう側から友人が近づいてきたことを思い出す。
「やあ」「よう」「どうだね」「あんなもんやろうね」「だろうね」「寒いね」「雪はやんだね」
わたしたちのことだから、きっとそんな話し出しだったことだろう。昂奮などとは無縁だった。
試験のことは差し置いて、音楽やラジオの話でもして時間を潰していたに違いない。


高校は、市内、いや県内でも有数の古い校舎だったため、建て替えの最中だった。
1年時にはその旧校舎、2年3年時はプレハブ校舎で、試験後に少しだけ新校舎に入れたのだが、
このとき会場だった国立大学もかなりの年嵩で、旧校舎みたいだと言っては呆れて笑っていた。
雪国だというのに防寒対策がまったくなっていなくて、とにかく寒いのだ。
ただのコンクリートの檻で、刑務所の方がまだ暖かったのではなかろうか。



記憶は再び途絶える。
昼食はどうしたのか、どこで誰と食べたのか、それともひとりだったか、何も覚えていない。
学生服を着ていかなかったことは、よく覚えているのだが。
セーターを着ると肩がきつくなってしまうので、最後の2ヶ月は学校にも着ていかなかった。
何も言われなかったのが不思議と言えば不思議だが、自由というか無頓着なところのある学校だった。


しかし、あとは何を覚えているというのか?


帰り道、数学IIBを受けなかったわたしはひとりで帰途についた。
友人を待つのに60分は長すぎたようだ。寂しいとも思わなかった。


すでに辺りは暗くなっていた。暖色の街灯を受けて、雪が暖かみのある色になっていた。
窓には雪が次々と当たっていた。吹雪いていた。寒かったはずだが、それよりも雪に見入っていた。
初めて見る景色とはいえ、何の変哲もない駐車場にすぎなかったのに。雪など少しも珍しくもなかったのに。

いや、そんなに長くは見ていなかったかもしれない。たぶん、ほんの数秒のことだったに違いない。
それでも、なぜかこのとき見た雪ばかりが、この日の記憶として脳裏に焼き付いている。


その日、帰ってから何を食べたのだろう。家族と何を話したのだろう。犬は小屋から出てきただろうか。
毎週聞いていた深夜のラジオは、オンタイムで聞いたのだろうか、それとも録音してすぐに寝たのだろうか。
翌日、同じようにバスで行ったのだったか、それとも父に送ってもらったのだったか。
理科に待ち時間はあっただろうか。化学か生物、それと物理があるから、あったはずだ。でも覚えていない。
公民も受けずに、化学を受けてさっさと帰ったのだったろうか。そういえば、帰りはどうしたのだろう。


目が合うと机にパタッと倒れて見せたクラスメートがいた。暖房と試験で頬が紅潮していた。
そうだ、確かに「アイツやコイツ」は自転車で会場に来ていた。積雪など関係ないのだった。


書きながらふと気づいたが、試験前日は成人の日で、休みだった。
1月15日が成人の日だった、という記憶も、いずれ記録にとって代わられる。

担任の教師が、あしたは休め、もしくはラストスパートだ、わからなかったら3番にマルをしろ、
と急ぎ足で言っていたこともいま思い出した。妙に切羽詰まっていておもしろかった。


これだけしか覚えていないのだろうか?
そうか、と呟くよりほかない。十分だとも言える。


雪が見たかっただけなのかもしれない。


  

2011-01-13

HPP日記

  

風邪は治らないが、この度「ANZAで賞」を受賞してしまった。
HEAD PHONES PRESIDENT(以下HPP)の一ファンとして、まことに慶賀の至りである。
(受賞一覧はこちら http://ameblo.jp/az054/day-20110113.html )


流れ的にわたしだけ激しく浮いているし、少々説明をしておかねばなるまい。


わたしはこちらに引っ越してくるまではマイスペでブログを書いていた。

そのマイスペ、中の人が(?)センスもアタマも(たぶん金も)失い、
ほとんど自殺行為同然のリニューアルを予告なしに敢行、
かくして誰もが苦労してデザインしたプロフやブログは崩れ果て、
大事な顧客の著作権侵害、器物破損をしてまでのリニューアルは完全に裏目となり、
現在もマイスペ人口の減少、FacebookやTwitterなどへの流出が後を絶たない。

わたしも、気に入っていたブログのデザインを壊されてウンザリしきった者のひとりである。
できれば以前のレイアウトの復活を願いたいところだが、それはとうてい望めまいと思い、
こちらに引越してきてブログを継続することにしたのだった。
(単に、gmailのアカウントがあって登録が楽だっただけである)


そのマイスペはといえば、そもそもHPPのライブ終了後の会話がきっかけで始めたのだった。
とくに請われたわけでもなく、自主的にライブレポートと称してブログを書いていたのだが、
そのライブレポでも、HPPのものはとりわけ力を入れて書いていた。
というより、そうしなければ書けなかった。彼らのライブの磁場は、独特なのである。

一連のライブレポに対する「功労賞」的なものが、
今回の「2010年最高なブログで賞」受賞の理由とみていいだろう。


以下、レイアウトもデザインも崩れていて紹介するに忍びないのだが、
過去のHPPのライブレポで、比較的ちゃんと書けているもののリンクを貼っておく。

07月03日(土) 水戸Lighthouse
http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=1004701985&blogId=536725804
これが初の「遠征」だというのが、今となっては不思議である。それ以前は何を考えていたのだろう?


09月08日(水) 渋谷Club Asia
http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=1004701985&blogId=539315001
もっとも書くのが大変だったが、「出来事の再現」にではなく、中略した部分に時間がかかってしまった。
その部分は、以降一度も書いていないし、書き足してもいない。いつか書きあげたいのだが。

09月10日(金) 北堀江Club Vijon
http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=1004701985&blogId=539371904
09月11日(土) 名古屋Heartland Studio
http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=1004701985&blogId=539394644
09月12日(日) 渋谷Boxx
http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=1004701985&blogId=539420835
お読みになっていただければお分かりいただけるだろうけど、この三日間で三部作的な流れになっている。
Club Asiaで発せられた「Are You Happy?」は、この短い間に如何なる変遷を辿ったのか?

10月23日(金) 渋谷Club Asia
http://www.myspace.com/moonisflower/blog/540847681
HPP初のアコースティック・ライブであり、国内におけるMarさん(g)最後のライブとなった。
わたしはこのブログを、「ちょうど一ヶ月経った」ことを理由に書いた、としている。
しかし、実際は発表より少し前に聞いたMarさん脱退の報を受けて書いたのだった。
「わたしはまだ、感謝を捧げていない」とある。本当にそう思ったのだ。発表前に書きたかった。
もしかしたら、Marさんが読んでくれるかもしれないと思ったから。なぜそう思ったのかは、わからない。
ブログをあげた二日後、脱退が報じられた。

12月17日(金) 水戸Lighthouse
http://moonisflower.blogspot.com/2010/12/head-phones-president-rowthe-at-mito.html
四人編成となったHPP初のライブであり、こちらへ引っ越してきて初めてのブログともなった。


9月初頭、新作Pobl Lliw発表に合わせてこんな動き(遊び?)があった。
http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=1004701985&blogId=538791076
今となっては、マイスペにひとがいた時代の貴重なドキュメントである。書いておいてよかった。
当事者としては、これを壊されたのか・・・という怒りがふつふつと沸き上がりもするのだが。


そして、新作を聴いての感想。
http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=1004701985&blogId=538897493
あれからさらに気づいたことやわかったこともあるのだけど、当時の自分を尊重してそのままにしておく。

「2010年のまとめ」でも書いたように、Pobl Lliwはタワレコ限定販売。
気になるひとは是非その手にとって聴いていただきたい。
http://tower.jp/artist/271744/HEAD-PHONES-PRESIDENT



ほかにもHPP関連のブログはあるのだけど、これで十分だろう。

今年は去年以上に満足のいくブログを書いていきたいものだ。


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