2011-02-03

KANDINSKY & Der Blaue Reiter

  

今日はね、三菱一号館に「カンディンスキーと青騎士」展を見に行ったんだ。

ヴァシリー・カンディンスキー(1866-1944)はいちばん好きな画家のひとりだからね、
これで行かなかったら「好き」なんて言う資格を剥奪されても文句は言えないやね。

その上、これはかの「青騎士」展でもあるんだから、
すなわちフランツ・マルク(1880-1916)がもれなくついてくる、ってことでもあって、
ただでさえ好きな動物画の、その最高峰がオマケだなんてゆう贅沢な企画なんだよ。


実は2006年に小規模な「青騎士」展が開かれていたんだけど、どれくらいのひとが気づいたのかな?

ホテル・ニューオータニのなかにある美術館で、ほんの「さわり」だけ展示されたのを、
もちろんぼくは見に行っていて、美術館て言うよりか上品な「箱」にすぎない空間ではあるその箱で、
カンディンスキー、マルク、クレー、ミュンターに大いに魅せられたことをいまでもよく覚えているよ。


カンディンスキーみたいな大作家について、ぼくみたいな怪しい輩がどうこう言っても何にもならない。
だから、経歴その他が知りたい人はWikiにでも行ってくれ。知識の占有はかくして21世紀に崩壊したわけだ。

ぼくは単に、ああ素晴らしい、来てよかった、やっぱ好きだぁこうゆうの、てことしか言うつもりないよ。
でもそれじゃあなんだか馬鹿らしいってゆうか、言うだけムダってゆうか、「だからどうした?」っつうか。

だから、そこそこにはまとまったのが書けたらいいなぁ、と思いながら止まらないようにキーを打ってるの。



でだ、場所は丸の内の三菱一号館。「日本初のオフィスビル」なんて触れ込みがあるよ。1894(明治27)年竣工。
去年、竣工当時の旧一号館を忠実に再現したことで取り上げられてたし、CMにもなってたから知ってるはず。
赤レンガのアレだよ、いや見せたほうが早いか。



内装も当時の造りを再現しているそうで、板張りの床に関する注意書きが入り口にあったのが印象的だったなぁ。
曰く、当時の板張りを再現しているから靴で踏むとコツコツ鳴るので鳴らしすぎるなよ、てなことが書かれてた。
じっさい、けっこうコツコツしてたんだコレが。うるせぇ~っ!ってほどコッツコツしてるひともいて閉口したけど。


いきなり大御所レンバッハ(ビスマルクの肖像画描いたひと)から始まって、
こいつらへのカウンターで始まったんだぞ、ってわざわざ教えてくれるのが親切。

その次から本番。
カンディンスキーとミュンターの不倫旅行が「青騎士」の原点、てのがなんちゅうかこう、業を感じるけど、
個人的に1900年代の「青騎士」直前までのカンディンスキーは強力にロシア臭を放っているとこが凄い好きで、
まあそのほとんど全時代の作品が好きではあるのだけど、この頃はシャガールの描くロシアに通じるような、
どこか童話じみた郷愁や牧歌的なあたたかさが感じられるんだよね。




この時代のカンディンスキーはちょっと点描っぽい彩色方法をとっていて、今回も2~3枚見れてうれしかった。
『《日曜日》のためのスケッチ』(1904)『花嫁』(1903)なんてうっとりしてしまったなぁ。
ペインティングナイフで左官よろしく塗っているのだけど、ちょっとやってみたくなった。


ついで、旅行から帰ってきたふたりが落ち着いたムルナウの町へ。
カンディンスキー独特の「黄色」がもうどうしたって好きなんだと、わかりきっていたとはいえ改めて悟ったよ。
なんでか知らないけど、あの「黄色」を見ると幸せな気分になってるんだよね、いつもいつも。
まだ抽象画へ入りかかったころの作品群で、その「黄色」は抽象画になっても威力は十分あるけど、
ムルナウの穏やかで牧歌的な風景のなかにあると、そのあたたかみが最大限発揮されるように思うんだ。
別の言い方をすると、ムルナウ時代の絵って「かわいい」んだよ、絵本みたいってゆうかさ。





さて、とうとう「青騎士(Der Blaue Reiter = The Blue Rider)」の登場だ。(詳しくはWikiでいいでしょ)

ミュンターの描いたヤウレンスキーの肖像、


ヤウレンスキーの風景画、


マッケの都市景観など、



グループのメンバーも素晴らしい仕事をしていているけど、やはりマルクは際立っていたよ。

なんといっても、あの比類なき『虎』(1912)の迫力!
その瞳以外は直線だけで構成されたキュビスム的な作品なのに、虎以外の何者でもないんだよね。



『牛、黄-赤-緑』の黄牝牛・赤仔牛・緑牡牛のアンサンブルもまた素晴らしいのだな~ホントに。
『虎』より一年古い作品で、こちらは曲線だけで構成されているとこが対照的でおもしろかった。




マルクは一次大戦で若くして亡くなってしまったのだけど、まったく惜しいひとを失くしたもんだよ。


それでもやっぱり、今回の目玉、カンディンスキー『印象III』(1911)が凄かったなぁ~。
たいていのひとは「なにが?」って言うかもしれない抽象画なんだけど、見た瞬間に引き込まれちゃった。
抽象画が本格的に始まったというだけでなく、ムルナウ時代の幸せな「黄色」から離れ、
色がある種の「力」を発散するようになるという、そのきっかけとなった重要な作品。




絵の前に仁王立ちして、随分長いこと眺めていたよ。部屋を出ても、すぐまた戻ってきたし。



結局、いつものように二周半見て歩いて、ああえがったえがったと呟きつつ帰宅しましたとさ。



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